@article{oai:bunkyo.repo.nii.ac.jp:00002648, author = {北島, 大悟}, issue = {2}, journal = {文学部紀要, Bulletin of the Faculty of Language and Literature}, month = {2013-03-01, 2013-04-16}, note = {本稿は『宋書』隠逸伝の序論の訳注である。                                                                        著者である沈約(四四一―五一三)は、南朝の斉から梁にかけて活躍した文人である。王朝交代が連続する不安定な情勢のなか、官途に身を置きつつも、隠逸願望を表現することが多かった人物として知られる。当時の文壇の中心人物だった沈約の隠逸観を探ることは、六朝期の貴族層の精神のあり方を探るうえで、重要なサンプルの一つとなり得ると考えられる。                                                                           『宋書』隠逸伝論は、沈約が隠逸に言及した文章であるため、これまでの隠逸観の研究において重要な資料とされてきた。                       『宋書』は斉の永明五年に武帝の勅を受け編纂された。その隠逸伝は、劉宋期の隠者二十余名の伝を収録している。正史における隠者の伝としては、劉宋の范嘩『後漢書』にはじめて逸民伝が立てられ、梁の蕭子顕『南斉書』に高逸伝が立てられている。隠逸への関心が高まっていた時期であり、その風潮のなかで執筆されたものである。                                                                                   隠逸伝論の内容は、その展開から四段に分けられる。導入部である第一段では、『周易』『論語』の隠逸に関する呼称の不統一を指摘し、「隠」の定義付けの必要性を主張する。                                                                                      第二段は「隠」の定義付けが行われる箇所である。「隠」とは行跡・言行が他者に知られないことであり、実行するのは「大賢」であるとする。             第三段では、真の「隠」を行う「大賢」と、一般的な隠者との差別化が行われる。典籍に記録される全ての隠者は「隠」を完全に実行したとは言えないと主張する。                                                                                               第四段において主題が語られる。隠逸伝論の主題は、真の「隠」を実践した人物の伝を執筆・収録することはできないため、一般的な隠者、つまり超俗的で優れているが言行を隠しきれなかった人物の伝を収録する、というものである。}, pages = {86--65}, title = {『宋書』隠逸伝論訳注}, volume = {26}, year = {} }