@article{oai:bunkyo.repo.nii.ac.jp:00003747, author = {荒井, 宏祐}, issue = {1}, journal = {文教大学国際学部紀要, Journal of the Faculty of International Studies Bunkyo University}, month = {1999-10-01, 2011-02-24}, note = {The aim of this paper is to show more clearly J.-J. Rousseau's insight into ecological systems in the 18th century. "Les Institutions Chymiques", written by him, from 1745 to 1747, includes many ecological observation and reflections on the relations between the inorganic world and organic life. First, I introduce these ideas, and examine their distinctive characteristics, comparing them with those of Encyclopedists. Second, by pointing out the particular characters of Rousseau's external, physical experiences and natural sensibilities, I demonstrate the significance of his ecological understanding in his thoughts on Nature. Finally, I emphasize and clarify the importance that jean-jacques' unfinished work (mentioned above) continued to hold until the end of his life, a work which was published entirely only at the beginning of 20th century, after being unknown for more than one hundred years. \n 今日,我々は「自然」の語を,ごく日常的には,山川草木など自生的な自然物や,人間界とは別にある自然界全体または宇宙や物理的な世界を指すのに用いるか,あるいは「ひとりでにそうなる」という意味で「自然に」などと副詞的に使っている。しかし「自然」の一語はこれまでの人類の思想的な歩みが少しづつ積み重ねてきた多くの意味を含む多義語である。この語はまた,自然状態,自然法,自然権などの言辞を作って人工・人為が不在であったりそれを超えている状態や既存の制度など人間の作為を批判しうる規範的・倫理的価値を持ってきた。こうした多義性は,現在の辞書・事典類にもなおとどまっているのを見ることができる。しかしそれらに比べると我々の日常的な用法は,きわめて限定的であるといってよかろう。もっともこの倫理的な意味は,近代以後,自然資源の全面的利用活動の大規模化期には,使用頻度が少なくなっていたようであるが,しかし近年環境問題に当面するに及んで,「地球または環境にやさしいライフスタイル」など,「自然」は再び現代的生活様式の変革を迫る規範や規準の意味としても再使用されるようになってきた。  またそれとともに,より基本的に「自然」の理解に多次元的なまなざしを向けることにより「現在の自然理解に思想史的展望を与えようと試みる」ものもあらわれてきた。 小稿はこうした中で,近代の出発期に当たる18世紀前期までの「自然」の語義をふりかえったのちに,百科全書派の自然観とJ.-J.ルソー(Jean-Jacques Rousseau,1712年~1778年)の自然観の対立に触れた。  ルソーの「自然」の一つは,生態作用を持つ「環境」としての自然で,彼はそれを『人間不平等起源論』(以下『不平等論』という)で示していることはすでに拙稿で指摘した。しかしその後の検討により,実はこの観念は,ルソーが『不平等論』の完成に先立つ9~7年前(1745年~1747年)に手がけた『化学論』(lnstitutions chymiques)に明確にあらわれていることが探求された。今回はその内容の一端を述べるとともに,こうしたルソーの生態学的認識を検討することの意味についてもあわせて言及した。  また彼は,生態作用を内に秘める自然界の諸相を多様に描いており,その特徴のいくつかはこれまでの拙稿でも取り上げたことがある。小稿では「化学論」の考察に先立って,以後の検討結果を報告する。自然空間の中に深く入り込み,その諸相を鋭敏な感覚で伝えるルソーの姿は,いわば自然への自己言及的態度を打ち出した18世紀の1人の人間の姿を示すものでもあろう。  これらにより小稿は,ルソー研究の基底の一つを成す,「自然」の分析の一助となることを願うとともに,多次元的な「自然」理解の視線の一つを示唆しようと試みるものである。}, pages = {53--72}, title = {J.-J. ルソーにおける自然空間の諸相と「化学論」に見る生態学的認識 : 研究序説}, volume = {10}, year = {} }